台湾回想記 〜アミ族の女性たち〜
アミ族は、13種類の台湾先住民族の中で最も人口が多く
私が訪れた花蓮県(東北部)に住むアミ族は漁業を主な生活の糧としていた。
そのため昔から海沿いの平地に住み、海との強い結びつきがある。
花蓮の隣「吉安(ジアン)」という駅で降りて、宿を探す。
平日ともあって簡単にチェックイン。
この町に住む人は90%以上アミ族の人たちだ。
肌は浅黒く、目鼻が大きくて、彫りの深い顔立ちだ。
アタヤルの土産物屋の店主が言ってたほど、背の高い人ばかりではないが、
男女ともに骨格のしっかりした、背の高い人が目立つ。
まったくそうではない人も多い。
親日的で日本語を話せる人が多いことに驚いた。
日本が台湾を占領した時、もっとも早くに日本人と触れ合ったのが
アミ族の人たちだったらしい。
アミ族の女性たちが手作り小物を作っている、という仕事場に行ってみた。
私が部屋に入るなり 「ニホンノムスメ!」 と騒がれる。
おばちゃんたちは、各々が知ってる限りの日本語を連発し始めた。
「オバサン」「オトーサン」「オトコ」「オンナ」「ムスコ」「カワイイ」など。
両親から教わったらしい。みんな冗談好きで、その仕事部屋は笑いが絶えない様子。
突然の訪問にも関わらず、アミ族に関するいろいろなことを教えてくれた。
パワフルでエネルギッシュな女性たち。体格も良い。
彼女たちは笑いながら否定したけれど、彼女たちを見ていると
アミ族が男女平等の母系社会である習慣は、今もなお続いているように思える。
広く深く強いパワーをもらった。
雑談のあと、漢方が入ったおいしいお茶をごちそうになり、
記念撮影をしておみやげまでもらう。ほんとにビックマザーな女性たち。
アミ族の現状を少々。。。
現在、半分半分くらいの割合で都市労働者と漁業をしている人がいるらしい。
人によっては、休みの時だけ故郷に戻って来て漁業を手伝っているようだ。
また街で失業した人も手伝ったりしている。(食堂のねえちゃんの話)
夏になるとお祭りシーズンで、
アミ族の人たちは伝統的衣装を着て、踊ったり歌ったりする。
踊りや歌はアミ族にとって重要なもので、親から子に伝えられ、
祭りには老人も子供も参加して、町全体がお祝いムード。
これが貴重な観光資源でもあるようだ。
私が訪れた町の公民館のようなところでも女性たちが集まって
踊りの練習をしていた。
結婚について。
アミ族同士の結婚が多いが、最近は他の部族との結婚も
カジュアルに捉えられているようだ。
食堂のねえちゃんの話しっぷりから、そこらへんは特に重要ではなさそうだ。
現に、そのねえちゃんも日本の鳥取県にお嫁に行っていた過去を持つ。
食堂に飾ってあった写真にも、他部族からお嫁に来た女性が、自分の部族の
伝統的衣装を着てアミ族の祭りに参加しているものがあった。
台湾先住民、13部族のことを調べていて思うのだが、
住む場所も顔も言語も社会規律も違う13部族の間での争いや戦の事実が
ひとつも出てこないのである。(ただの勉強不足かもしれないけれど)
その明確な理由はわからないけど、今の私が思うに二つの理由が挙げられる。
ひとつめ。台湾には食べ物が豊富に育つ環境があること。
山にも海にも食べ物がたくさんあるため、他部族の陣地を侵す理由がなかった。
ふたつめ。穏やかな民族性。相手を責めるより、受け入れることの得意な人が
多い様に思える。怒るより笑うこと。悲しむより楽しむこと。そんな空気感がある。
by majyogirl
| 2009-04-18 04:55
| 台湾回想記